アンメット・メディカル・ニーズの代表格「抗がん剤」が急成長

人口の高齢化と疾病構造の変化により、処方される医療用医薬品の種類にも徐々にではありますが変化が見られてきています。

高血圧症や糖尿病などの生活習慣病関連の薬剤は依然として大きな市場を形成していますが、最近はアンメット・メディカル・ニーズの代表でもある抗がん薬が急成長しています。一方、糖尿病治療薬には新規作用機序の新薬が登場、高血圧治療薬は最大の売上高のARBが配合剤にシフトしてきています。

医療用医薬品市場は、9兆5,000億円程度になりました。売上高のトップはレニンーアンジオテンシン系作用薬で、薬価ベース4兆7,000億円の規模となっています。レニンーアンジオテンシン系の大部分を占めるのはARBで、武田薬品、ノバルティスファーマ、第一三共、アステラス製薬など7社がしのぎを削っています。

特徴的なのは、他の降圧薬である利尿薬やカルシウム拮抗薬などの配合剤が相次いで発売されていることで、元の単剤から配合剤に処方が移行する時期になっています。

ここ数年で急速に伸びているのは抗がん薬です。現在、その主流となっているのは従来の殺細胞性薬剤に代わる分子標的薬で、「アバスチン」をはじめ「ネクサバール」や「ベクティビックス」などの多くの製品に勢いがついています。

抗がん薬は5年前に比べると7割増で、多くの新薬が投入されていることが分かります。2011年も「ハラヴェン」、「フェソロデックス」などの新薬が発売されました。

抗がん薬はまだ外資系の製薬企業が販売の中心となっていますが、国内企業もようやく自社製品を開発するレベルに達しました。また海外のバイオベンチャー買収などによって新薬候補品を獲得、これまでの遅れを取り戻しています。武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイなどの国内上位4社は揃ってがんを得意領域に育成する方針を打ち出しており、今後は活発な開発競争が繰り広げられそうです。

薬効別の上位にはランクインしていないものの、台頭が著しいのがワクチン類です。公費で助成される対象範囲が広がったことで需要が一気に拡大しました。子宮頸がんワクチン「サーバリックス」、小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」、Hibワクチンの「アクトヒブ」が揃って助成の恩恵を受けました。

糖尿病治療薬として登場したインクレチン関連薬が急成長しました。なかでもDPP-4阻害薬は発売から2年で1,000億円の市場を築き、一気に薬物治療の主流となりました。最先発品である「ジャヌビア」「グラクティブ」の2剤の長期処方が解禁され、糖尿病治療薬の売上は前年比16.7%増の3,834億円となりました。3番手以降の「エクア」「ネシーナ」「トラゼンタ」も順調に伸ばしてきています。

糖尿病治療薬は単剤よりも併用での治療が多いため、新薬の発売は領域内のシェア争いにつながることは少なく、上乗せして売上高を増加させる期待があります。膀胱がんリスクの指摘によって処方にブレーキがかかった「アクトス」や、後発医薬品に侵食されつつある「アマリール」などを尻目に、今後2~3年で更に4品目の発売が見込まれるDPP-4阻害薬は、市場拡大の牽引役となることは確実と思われます。

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