副反応の報告でワクチンの積極的な接種勧奨が一時差し控えに

2013年4月に改正予防接種法が施行されたことにより子宮頸がん予防ワクチンが定期接種化されましたが。現在使用されているワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐことで、それに起因する子宮頸がん、その前駆病変を予防する効果があるサーバリックス(グラクソ・スミスクライン)とガーダシル(MSD)の2つとなっています。

ワクチンの接種対象は小学6年~高校1年生相当で、筋肉内に3回注射を行います。A類疾病のため教育現場で接種勧奨が行われていますが、失神や意識レベルの低下、発熱、アナフィラキシー、関節痛などの副反応報告が相次いだため、厚生労働省の副反応検討部会ではワクチンの積極的な接種勧奨を一時的に差し控えるべきという結論に達しました。

これを受けて厚生労働省は学校での推奨リーフレットの配布、対象期間の通知などを一時中断しましたが、定期接種は継続するということになりました。しかし、テレビ等のマスコミでは副反応に苦しむ少女の映像が報道されたこともあり、ワクチンの接種率は一時的に低下することが予測されます。

しかし、海外では世界保健機関(WHO)がHPVワクチンの安全性を疑う理由はほとんど存在していないという生命を発表し、日本の産婦人科系の学会からも、早期の勧奨再会を求める声が挙がりました。

2014年1月の副反応検討部会ではこれまでの報告やデータを元に検討を行い、疼痛や運動障害などの副反応は、接種時の痛みや緊張、ストレス、生活環境などが相まって、さまざまな身体症状が引き起こされたという結論に至りました。

既知の自己免疫疾患との因果関係や、仮説として挙がっていた、神経学的疾患、中毒、免疫反応などについては医学的な根拠が乏しいとされました。また接種後1ヶ月以上経過してから発症した例、心身の反応が3ヶ月以上慢性的に経過することの要因としては、ワクチン接種を疑う根拠がほとんどないとなりました。

HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100以上の種類に分類されます。HPVワクチンは、このうち子宮頸がん全体の50~70%の原因を占めるとされている16型と18型が対象となっています。子宮頸がんは数年から数十年かに及ぶHPVの継続的な感染によって発症するとされていますが、ワクチン導入から間もないこともあって、がん自体を予防する効果は証明されるに至っていません。また既に感染したウイルスを排除することはできないため、初めての性交渉をもつ前の年代で接種することが推奨されます。

一方でHPVワクチンには発熱や局所反応(疼痛・発赤など)の副反応があり、注射による痛みや心因性の反応などによって、失神や広範囲な疼痛・運動障害が現れることがあります。しかしワクチン接種だけでなく通常の採血や献血でも疼痛や失神は起こるため、欧米ではHPVワクチンの含有物ではなく、針を刺す行為そのものでこれらの副反応が起こりえるという見解を示しています。

現在、日本国内における子宮頸がんの発症者数は毎年約1万人とされており、約3000人が亡くなっています。厚生労働省はHPVワクチンの国内販売以降、予防接種によって回避できた子宮頸がんの患者数は1万3000人から2万人としています。

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