新薬と有効成分は同じですが、添加物やコーティングなどは異なります

脳梗塞や心筋梗塞を起こした患者さんの大半は再発を防ぐために血栓を防ぐ抗血小板薬、抗凝固薬などを一生に渡って飲み続けなければなりません。また糖尿病や高血圧の方はそれぞれ血糖値、血圧をコントロールするための薬を長年飲み続ける覚悟が必要となります。

特に高齢者は、なんらかの病気を複数持っていることが多くなり、毎日服用する薬の種類も多くなります。そうなるといくら自己負担の割合が若い世代に比べて少ないといっても、毎月の薬代は結構な金額になるはずです。

薬代の負担が大きい人は、価格の低いジェネリック医薬品に切り替えることで、医療費の負担を軽減することができますが、大きな病気の薬をジェネリック医薬品に変更しても大丈夫なのでしょうか?

ジェネリック医薬品は後発医薬品ともいわれ、製薬企業が開発し、製造・販売してきた先発医薬品の特許の有効期限が切れた後に、他の会社が同等の効能・効果が得られるように模造して作ることを厚生労働省から許可された医薬品です。

先発医薬品は薬の候補物質の探索をゼロからはじめるので、開発・申請するまでに、長い年月と、数百億円という莫大な費用がかかります。当然、薬の価格が高くなります。一方、後発品は開発費がかからないので、価格が3~5割程度安くなるという仕組みです。

国は増大する国民医療費を削減するため、ジェネリック医薬品の普及を推進しています。薬局の薬剤師も勧めますし、テレビやCMでも盛んに宣伝されています。最近、ジェネリック医薬品の宣伝を新聞やテレビで目にする機会が多いのは、医療費が財政を圧迫しているという背景があるのです。

効能が同じなら、価格が安いほうがよいと思われるかもしれません。しかし、ジェネリック医薬品は、新薬と有効成分が同じでも、薬の安定性を保ったり、溶け具合を調整したりする添加物や、薬の形、コーティング、カプセルの材質などは異なります。肝心なのはその部分の安全性の審査は新薬に比べて省略されているのです。

ジェネリック医薬品を処方することに抵抗を感じる医師が多いのは、この点において先発品と本当に同じ効果があるといってよいのか判断に迷うためです。直接、命に関わるような薬でなく、服用も短期間で済むならばジェネリック医薬品でもかまいませんが、脳梗塞や心筋梗塞などのような命に関わるような薬の場合は、僅かな吸収率や代謝の違いが効果に悪影響を及ぼす可能性がないとはいえません。

また後発医薬品でも、実績のある医薬品メーカーが作っている薬はまだいいかもしれませんが、信頼性や供給体制に問題がある中小の企業もあると言われています。ジェネリック医薬品に変更したけれど、次に薬局にいった時には入手できなかった、というのでは困ります。

テレビの情報だけを見て、ジェネリックのほうが安くていい薬と踊らされるのでなく、冷静に判断しご自身で選択することが大切です。

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